がんに限りませんが、どんな病気であってもいいお医者さんにかかりたいというのは誰もが思うことでしょう。私自身もそう思いますし、特に今回のがん治療ではそれを思いました。
かかりつけで通っていた近所の泌尿器科では、半年以上通院しながら膀胱がんであることを見つけてもらえなかったことは少し残念に思っています。ただ、そのかかりつけ医から今の治療を受けている医師を紹介されたのですが、これは大変良い紹介をしてもらったと思っています。
最近は分かりませんが、以前は週刊誌などで「名医はこの人だ!」といった特集記事をよく見かけた記憶があります。確かにお医者さん自体の良し悪しというのは、人間のやることですから、やはりあるのだろうなと思っています。
ですが、いま治療を受けている病院に1年近く通う中で、治療体験の良い悪いを決めるのは医師だけの問題ではないと、とても強く思うようになりました。つまり、医師も含めて、看護師やその病院の仕組み全体が良いものであるか、つまり、名医がいるだけでなく「名病院」であるのか、ということがとても大事なのではないかなと思うようになったのです。
私がお世話になっているのは大きな病院ですから、一度の診察で主治医と話をする時間はそれほど長いものではありません。血液検査などの結果が良好であれば「特に問題ないですね、それでは今の治療続けましょう。」というレベルで、こちらから特に質問をしなければ、それで診察が終わってしまうといったことも普通です。よく言われる3分診療というものかもしれません。
ただ、それを補ってくれているのが看護師さんたちの動き。診察の前に、診察担当の看護師さんが、前回の診察以降の体調や気になるところなどを詳しくヒアリングして、それをちゃんと主治医に伝えてくれています。また、点滴の時には診察前や診察の時よりも時間がかかりますので、その間に、点滴担当の看護師さんが、頻繁な点滴が仕事の支障になっていないか、といったことから始まり、体調で気になることなどのヒアリングも含めてしてくれます。そして、申し送り事項があると必ず次の回の点滴の時に伝わっているという状態になっています。それが、担当の看護師が変わってもそうなのです。
これは、すべての情報がコンピューターで管理されているということもあるのだと思いますが、それだけではなく、きちんとそのコンピューターの情報を見ながら診療や治療を進めることが徹底されているからなのでしょう。
看護師さんの中には、治療とは全く関係のない私の仕事の話を聞いてくれて、その内容に興味を持ってくださり、次に点滴に来た時に、担当でもないにもかかわらず私のところに来て前回聞いた話をもとにサイトを見てみました、と、言ってみれば世間話をしてくれる人もいます。こうしたことは、直接治療とは関係がないといえばそうなのですが、病気ではあっても自分の仕事をきちんとやっていこうという気持ちになるし、そのためにも治療をきちんと続けていこうという、前向きな気持ちにさせてくれるという点で、とても大きな効果があると感じます。
そうかと思えば、入院の時に担当してくれた看護師さんが私の名前を覚えていてくれて、担当でもないのに、見かけると声をかけてくれる、というようなこともあります。
大きな病院なので、どうしても待ち時間が長い などの問題はありますが 一方で、担当の医師だけでなく、病院のスタッフ全体がサポートしてくれる感じがする、そういう病院で治療を受けられることは、とても幸せな気分。
名医かどうかということは、比較的単純な話なので記事にもなりやすいのかもしれませんが、名病院であるかどうかということは、なかなか判断が難しいところだと思います。ですが、せっかく治療を受けるなら、こうした名病院で治療を受けたいものだなと改めて思いますし、また、たまたまではありますが、そういう病院で治療を受けられていることの幸せを思います。